第283章

元夫ってやつ、ほんとに「優しい」ことしてくれるよね!

さっきまで鈴木直哉が私に向けて言っていた、いかにも庇っているような言葉。午前中に見せたあの冷たい顔。そして今、テレビの向こうで、報道陣を前にして吐いている台詞。

水原念の胸は、きりきりと痛んだ。

酒を一杯、あおりたかった。酒がないなら、お茶でもいい。

けれどここは病院の食堂で、茶すら置いていない。

念は手近にあったスープの椀を掴み、ぐいっと仰いで一気に飲み干した。

「念ちゃん、ちょっと……」黒瀬初花が不安そうに覗き込む。「大丈夫?」

「平気」水原念は口元だけを吊り上げて答えた。

黒瀬初花は言葉を失う。

空になった椀と、そ...

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