第287章

 水原家の別荘。

 水原念がリビングに足を踏み入れた瞬間、家族全員が消毒液の入ったスプレーを手に、あちこちに吹きかけているのが目に入った。室内はツンとした消毒液の匂いで満ちている。

「……なにしてるの?」

 念は鼻を押さえ、眉をひそめた。

 マスク姿の高橋妍が、シュッシュッと噴霧しながら近づいてくる。

「最近うち、絶対に「よくないもの」を呼び込んじゃったのよ。それでずっと災難続きでしょ? だから消毒液を撒いて、悪い気を追い払おうと思って」

 水原念は言葉を失った。

 視線を巡らせると、水原直恭の姿がある。思わず顔が明るくなった。

「直恭叔父さん、来てたんだ?」

「ああ。ここ...

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