第289章

鈴木おばあさんから電話がかかってきたとき、鈴木直哉は夏目清子に付き添っていた。

ここ数日、清子は悔しい思いをさせられたらしく、ずっと機嫌が晴れない。直哉も時間さえあれば、顔を出していた。

清子は表向きこそ気遣うような言葉を並べ、自分が我慢すればいいとでも言いたげだった。直哉を困らせたくない、と。

だがその言葉の端々は、途切れることなく彼に突きつけてくる。あなたを愛するために、私はどれだけ払ってきたのか。しかも夏目家の人間まで、彼女に反対しはじめているのだと。

「直哉、私……この先の人生、あなたしかいないの。安心して。お父さんとお母さん、それにお兄ちゃんのことは私が片をつける。絶対に、...

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