第294章

まともな頭がある人間なら、真っ先に疑いの矛先は水原念へ向く。

だが、奥村光も鈴木陸も、ただ「頭がある」程度の男じゃない。

頭がある者ほど水原念を疑うのなら、水原念がそんな真似をするはずがない。自分で自分の首を絞めるだけだ。

それに二人は分かっていた。今回は、水原念が本当に息子に見切りをつけ、離婚するつもりでいることを。

となれば、この件の黒幕は――

だいたい見当がつく。

最後に得をするのは誰か。答えはそれだ。

鈴木直哉は、神代夢子に冷ややかな視線を投げられた。これ以上口を開けば刺激してしまう。そう判断し、彼は音も立てずに病室を出た。

ちょうど夕暮れ時。鈴木直哉は水原念を見つけ...

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