第110章 あなたには一切関係ない

勝つために参加しない者など、いるはずがない。

橘芹奈の胸中を、ある奇妙な予感が走り抜けた。

あの選手の物言いは、あまりに含みがありすぎた。悪意ある者に歪曲されれば、橘芹奈はおろか、スターライト・モーターズ全体が金で優勝を買い取ったかのように吹聴されかねない。

そうなれば、たとえ勝ったとしても、その勝利は泥にまみれたものとなる。

棄権を宣言した内宮未来と視線を交わした直後、橘芹奈は即座に観客席のあの一点へと顔を向けた。

クロダ・キャピタルの選手が選んだ「棄権」。それは、黒田奏多の差し金なのだろうか。

彼が指示したのか? ただ私に恥をかかせるためだけに、これほどの代償を払うというの?...

ログインして続きを読む