第175章 傍若無人

結局、紗奈はゾーイの頼みを断り切れず、承諾するしかなかった。

ホテルを一歩出た瞬間、肌を刺すような寒風が彼らを襲った。それは、全身の血液さえも一瞬で凍てつかせるほどの猛烈な冷気だった。

あまりの寒さに、一行は思わず身震いする。

紗奈は厚手の毛皮の手袋をはめた手でゾーイの車椅子を押し、橘芹奈と並んで歩き出した。

足元には深い積雪。除雪車が頻繁に行き交い、道を切り開いてはいるものの、ここの降雪量は尋常ではない。三十分もしないうちに、また厚い雪の層が地面を覆い尽くしてしまうのだ。

見かねた立木武が手を伸ばし、紗奈の車椅子押しを手伝う。

これほど過酷な寒さの中では、誰も口を開いてお喋りを...

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