第190章 黒田奏多の母

ヴィヴィアンの家を後にする時、陽菜は橘芹奈の手を強く握りしめ、ぽろぽろと大粒の涙をこぼして別れを惜しんだ。

「ママと立木武おじさんは、一緒に帰らないの? 夜、一人で寝るの怖いよぉ!」

家ではずっと子供部屋で一人で寝ている陽菜だが、それは大好きな橘芹奈を引き留めるための、幼い彼女なりの精一杯の口実だった。

そんな陽菜のいじらしい姿を見て、橘芹奈の胸も締め付けられるように痛んだ。

彼女は静かにしゃがみ込み、陽菜の小さな頭を優しく撫でた。

「ママにはね、ここでもっと大切なやらなきゃいけないことがあるの。陽菜はとっても勇敢な女の子だから、一人で寝る怖さなんて絶対に乗り越えられるって、ママ信...

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