第210章 嫁入りを口説く時に面子など気にするか?

橘芹奈の言葉が終わるや否や、黒田奏多が大股で歩み寄ってきた。

近づいてきて初めて、橘芹奈はその見事な花束が、すべて自分の好きな花で埋め尽くされていることに気づいた。

密集した花々から、濃厚な香りが鼻腔をくすぐる。

「気に入ったか?」黒田奏多は花束を橘芹奈の前に差し出し、彼女の反応を期待するように見つめた。

鈴木由佳利をはじめとする同僚たちは、一様に驚きを隠せずにいた。

橘芹奈が既婚者であることは知っていたが、彼女の夫がこれほどまでに端正な顔立ちをしているとは誰も想像していなかったのだ。

自然と視線が彼に引き寄せられ、目を奪われてしまう。

橘芹奈はこれといった感情を見せることもな...

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