第222章 囮捜査

黒田奏多と氷川昴は、エントランスの花壇でビニール袋を見つけ出した。中に入っているものは、驚くほど軽かった。

例の男はよほど用心深いのか、袋は三、四重に重ねられ、その一つ一つに固く結び目が作られていた。

苦労して何重もの結び目を解き、二人はようやく結晶グラフェンと対面を果たした。

橘芹奈の実験成果を目の当たりにするのは、黒田奏多にとってもこれが初めてだった。両手サイズのこの物質が、新エネルギー市場の勢力図を根底から覆す新素材だとは、にわかには信じがたい。

「あんたも一緒に来てくれ」

氷川昴は珍しく険を落とした表情で、黒田奏多にそう持ちかけた。

実際のところ、これを見つけ出したのは二...

ログインして続きを読む