第229章 無駄になった6年間の夫婦生活

黒田奏多が席を予約した際、すでに料理のメニューも決めていた。

個室のドアを開け、黒田奏多が注文した料理を目にするなり、氷川昴は店員を呼んでさらに数品追加した。

料理が運ばれてくるまで、奇妙な沈黙が場を支配し、誰も口を開こうとはしなかった。

「この店のチャーシューが美味しいって、前に言ってただろう」

黒田奏多は取り箸を使い、橘芹奈の取り皿へそれを取り分けた。

彼が口にした「前」とは、もう三年近くも昔のことだ。

橘芹奈が箸でそのチャーシューをつつくと、甘ったるい匂いが鼻をつき、胃の奥が少しむかついた。

彼女は眉をひそめ、無言のままそれを小皿の隅へと追いやった。

「味は変わっていな...

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