第233章 誰も彼の代わりに決めることはできない

白川雪はまず、可愛らしくおじ様、おば様と挨拶をすませた。そして振り向きざまに黒田奏多と視線を交わした瞬間、すべては計算通りと言わんばかりの表情を見せた。

「今まで自分の素性を明かさなかったのは、学校で嫌がらせを受けるのではないかと父が心配して、わざと貧しい家庭の出身だということにしていたからです」

上品に振る舞う白川雪の姿は、橘芹奈の記憶にある横柄な態度とはまるで別人のようだった。

ほんの短い間で、彼女はすっかり様変わりしていた。顔には透明感のあるすっぴん風メイクを施し、身に着けているのはどこのブランドとも知れない地味な服ばかり。

一見したところ、素性を隠して市井に紛れ込んだ本物の令...

ログインして続きを読む