第238章 去っても逃れられない

子供を抱いたまま家路を急ぎ、アパートの階段を上りきった橘芹奈の目に、玄関の前で今まさにドアをノックしようとしていた二階堂香織の姿が飛び込んできた。

「帰ってたの?」

芹奈は驚きと喜びに満ちた声を上げた。

少し前、香織は仕事が忙しすぎると言って有給休暇を前借りし、実家へ静養に帰っていたのだ。

芹奈でさえ香織とは連絡が途絶えがちで、たまにメッセージが送られてくる程度だった。

「実家は環境がいいから、ゆっくり休むには最高なのよ。ただ電波が悪くて、あんたたちのメッセージがなかなか受信できなくてね」

香織は笑いながらそう言うと、手を伸ばして陽菜の頭を軽く撫でた。

「あら、少し見ない間に、...

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