第254章 用がないなら探すな

研究室の固定電話がけたたましく鳴り響いている。まるで命でも取り立てるかのような、切羽詰まったコール音だった。

「村上、電話!」

鈴木由佳利は顔を上げることなく叫んだ。

名指しされた村上という男も、ちらりと顔を上げただけで言い放つ。

「中村、電話!」

研究室にいる全員の名前がたらい回しにされ、結局、電話は鈴木由佳利の元へと戻ってきた。彼女は仕方なく受話器を取る。

「こちら、実験の成否に関わる非常に深刻な問題が発生していまして。どうしても橘エンジニアに直接来ていただかないと解決できないんです」

受話器の向こうから聞こえてくるのは、耳にタコができるほど聞かされた常套句だ。もはや聞き飽...

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