第265章 黒田奏多はいつ清廉潔白になったのか

黒田奈緒子は橘芹奈に行き先も告げないまま、病院に着くなり救急へ一直線だった。

救急の中にいた患者が黒田奏多ではないと分かると、橘芹奈は総合案内へ回り、どの診療科にいるのか調べようとした――その瞬間。

黒田奈緒子からの着信が、またしても命を急かすみたいに鳴り響いた。

「……どれだけ時間が経ってると思ってるの。どうしてまだ来ないの?」

冷えきった声で責め立てられ、橘芹奈の苛立ちもふつりと切れる。

「病院に来て、あなたの息子さんがどの診察室にいるか調べもせずに? 空でも飛んで、直接隣にワープしろって言うの?」

黒田奈緒子は一瞬だけ言葉に詰まり、それでもすぐ返してきた。

「感染科」

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