第5章

 風が耳元で唸りを上げる。

 仰向けのまま落下しながら、崖上に並ぶ何枚もの狼狽した顔が、どんどん遠ざかっていく。小さく、小さく。

 私は目を閉じた。

 竜の翼は、六年前に折れている。もがく気も起きなかった。

「ドン——」

 鈍い衝撃音。

 骨が砕ける音は、その一発の鈍さに飲み込まれた。痛みはもう感じない。寒さすら、感じない。

 次の瞬間、身体が羽根みたいに軽くなる。

 目を開けると、私は崖上の空に浮かんでいた。見下ろせば、あの人たちがいる。

 ——死んだ。

 なのに、見えている。声も、表情も。

「ルーシェン! 正気か!? 早く降りて助けろ!」

 真っ先に我に返ったのは...

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