第8章

「ルーシェン? ケール? なにをしてるの?」

 彼女はまだ芝居を続けていた。けれど、声はもう震えている。

 ルーシェンは竜骨で組まれた机の向こうに立っていた。机の上には、几帳面に一列、物が並べられている。

 一つ目は、分厚い調書の束。表紙には五族執法堂の封印――極刑に値するほどの大罪を裁くときにしか用いられない印が押されていた。

 二つ目は、掌ほどの小さな鏡。鏡面は黒い。ひと目でわかった。蛇族に伝わる秘具「心鏡」――持ち主が生涯についた嘘を、一つ残らず映し出すという。

 三つ目は、小さく密封された玉の匣。蓋には、父の私印が重く押さえられている。

 四つ目――ようやくそれが、ケール...

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