第9章

 シルヴィが書斎から引きずり出されていく悲鳴がまだ空気に残っているというのに、巣は突然、死んだみたいに静まり返った。

「……どさっ」

 母が膝をついた。

 背骨を抜かれたみたいに崩れ落ち、顔を覆ったまま肩を激しく震わせる。喉の奥から絞り出される音は泣き声というより、傷を負った獣の呻きだった。

「私たちが悪い!」

「欲を出して、娘を二人とも手元に置こうとしたから……アリアがあんなことに……!」

 私は母の頭上に漂い、その姿を見下ろしていた。

 六年。

 戦場で八十枚目の鱗を剥いだとき、私は疫病地帯の腐った泥の中で死にかけた。人に頼んで家へ伝言を送った――一度でいい、会いに来てほ...

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