第5章

星奈視点

妊娠して数ヶ月、私は一度も彼と顔を合わせることなく過ごしてきた。お腹が膨らみ、心が石のように冷え固まっていく間も、どうでもいいというふりをし続けた。だが心の奥底では、馬鹿な私がまだ期待していたのだ。彼が戻ってきて、失ったものの大きさに気づき、やり直したいと懇願してくることを。黒木夫人はただ時を待っているだけ。私が彼女の大切な孫を産み落とし、昨日のニュースのように消え去るその時を。

しかし人生とは皮肉なものだ。自分を壊した人間を、これでもかというほど目の前に突きつけてくるのだから。

三月の木曜日、激しい雨が降り注ぐ夜のことだった。図書館委員会から呼び出しがあったのだ。市長...

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