放浪者の息子の帰還

セリーナは脇へ身を引き、ポールが店に入れるようにした。足を踏み入れた途端、空気の中を漂う食欲をそそる香りが、いきなり五感にぶつかってきた。

「テレサが来てるのね」セリーナはそう補いながら、背後で鍵を下ろした。「私が望みうる最高の名職人よ!」そう言うなり、カウンターの奥の扉へ駆けていき、また鍵を確かめるようにしてからその扉を押し開けた。

「テレサ!」セリーナの弾んだ叫び声が聞こえ、間髪入れずに「セリーナ! どうして戻ってきたの?」と返ってくる。

見えない奥の部屋で二人の女が近況をまくし立てるあいだ、ポールは店内を見回し始めた。

店はなかなかの広さだった。レッドウッドのカウンターの左手には...

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