アイリス・ワージントン

アイリスは家で、街へ素敵な夕食に連れ出してくれるアランの迎えを待っていた。待っているあいだ、彼女の思考は自然とポールへと向かった。

兄が、まさに今という時に戻ってきてくれたことが、たまらなくうれしかった。母のためにこそ、彼の存在がいちばん必要な時期だったのだ。正直に言えば、母が二人の子どもの顔を見さえすれば、奇跡みたいに心臓が癒えて、開胸手術なんてしなくても済むのではないか――そんな馬鹿な期待までしていた。

母には、いるべき場所に戻ってきてほしかった。家にいて、アイリスの結婚式の準備を一緒に考えてくれる、いつもの母に。

それでも、自分の隣に、わかってくれる人がいるのは救いだった。アランも...

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