ポール

ポールは宿を出たあと、セレーナが数日分の荷造りをできるようにと彼女を家まで送った。自分はそのまま帰宅するだけだったから、持ち物は財布と携帯電話と鍵以外、特に必要だとは思わなかった。

ふたりはネバダ行きの定期便に乗り、空港からはタクシーで彼の家へ向かった。

朝の十時までには到着していたが、ラスベガスはすでに乾ききっていて居心地が悪かった。涼しい気候に体が慣れるのは早いものだ。あの耐えがたい暑さを、平気な顔で受け流していた自分が嘘みたいだった。

道中は当たり障りのない話題で小さな雑談を続けていたが、それも家の中に足を踏み入れた瞬間に、ほとんど終わった。

ポールはセレーナの機内持ち込み用のバ...

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