スウィートレッド

ラスベガスのストリップで、とびきり豪奢なカジノをいくつか歩いて巡り、少しだけ賭けをして、遅い時間にビュッフェで夕食を済ませてから、二人は家へ戻った。別れて以来初めて、セリーナは――ウェスとの関係に終止符を打つ前の、自分らしさを取り戻しつつあるのを感じていた。

ポールが自宅の扉を開け、彼女が入れるように身を引いた。彼の家はセリーナの小さなコテージとは比べものにならないほど宮殿のようだったが、以前ここに足を踏み入れた瞬間に感じた冷たくよそよそしい空気が、また肌にまとわりつく。たしかに必要最低限の家具は揃っている。だが配色に温もりも歓迎もなく、どの空間も「前」と「後」の間に置かれた仮の部屋みたいだ...

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