[リリース]

ポールとセレーナは、固く指を絡めたままワージントン家の家へ足を踏み入れた。

セレーナは、ポールと自分をつなぐその手元にエレンの視線が落ちた瞬間、エレンが微笑み、胸に手を当てるのを見てしまった。そのとたん、胸の奥がちくりと痛んだ。エレンはきっと婚約の知らせを待っていたのだろう。だが、差し出されるのは祝福ではなく、過去が残した苦い味だ。

「さあ、座りなさい」年配の男が、木枠のついた青緑のビロードの二人掛けソファを手で示しながら、玄関脇に置かれた一人用のリクライニングチェアに腰を下ろした。エレンは暖炉の近くに座っており、傍らには毛糸のかごと編み針が置かれていた。

セレーナはまずエレンを抱きしめ...

ログインして続きを読む