アップルベイに戻る

セレーナから母のことを告げられた瞬間、ポールは自分の世界が崩れ落ちるのを感じた。時間がずいぶん経っているのだから、こんな反応はしないはずだ――むしろ、母親としてどれほど彼女が失格だったか、継父に殴られても黙っていたことも含めて、その数々が際立つだけのはずだった。

だが世界がぐるりと回りはじめ、彼は膝から崩れた。

「ポール」

セレーナはすぐ隣に来て、肩をつかんで支えた。

周囲の騒ぎは耳に入らなかった。耳の奥でどくどくと脈打つ音が膨らみ、視界が外側から内側へじわじわと暗く沈んでいく。ほかの音はすべて遠く、厚い布越しに聞こえるみたいにくぐもった。

力が抜け、息ができない。方向感覚も失われてい...

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