第5章

春川真希視点

「起きろ」と、彼は私を突き放した。

私は混乱しながら身を起こす。「賢治、どうしたの?」

彼は立ち上がる。「どうしたの? 本気で言ってるのか?」

「分からない……」

彼は私の方を向いた。「裕也が君のことなんか欲しくないって分かったから、今度は保険を探しに来たってわけか」

心臓が胃の腑に落ちる。「そんなんじゃ……そんなんじゃない」

「違うのか?」賢治の声は冷たい。「裕也に振られて、俺のシャツ一枚着て、彼が部屋にいるっていうのに俺のベッドに潜り込んで、体に触ってくる。俺にどう考えろって言うんだ?」

涙が目に熱く込み上げてくる。「分かってない。誰かの嫉妬を煽り...

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