第6章

春川真希視点

卵を一口食べる。意外とおいしい。「なんて言ってほしかったの?」

「さあな、少しは心配するとか? 何があったか訊くとか?」彼の顔が赤くなっていく。「悠里が俺を振ったのは、お前のせいなんだぞ」

食べ物が喉に詰まりそうになる。「私のせい?」

「ああ。あの子、女の子を弄ぶような人とは付き合えないって言ってた」裕也は髪を手でかき上げる。「お前が何年も俺のこと追いかけてるのを見て、俺がお前に気を持たせてると思ったんだ」

信じられない。思わず笑い出しそうになる。悠里、彼のデタラメをちゃんと見抜いたんだ。よくやった。

「じゃあ、裕也が振られたのは私のせいだと?」私はもう一口食...

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