第9章
父さんが玄関から入ってくると、すぐに何かがおかしいと察した。父さんは私たちの顔を順に見た。母さんのこわばった表情、私のあからさまな怒り、鳳城の真っ赤な目。そして、重いため息をつきながら鞄を置いた。
「鳳城」父さんは静かに言った。「書斎に来なさい。今すぐに」
処刑台へ向かう罪人のように、鳳城は父さんの後について廊下を歩いていった。書斎のドアが、カチリと小さな音を立てて閉まる。
母さんと私はリビングに座り、二人の会話に必死で耳をそばだてた。時折、父さんの低く真剣な声が聞こえてくるが、言葉までは聞き取れない。
二十分後、ドアが開いた。
出てきた鳳城は、魂が抜けたような顔をしてい...
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2. 第2章
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