第6章 嵐の後の朝の光

魔法科の教室に、ヴィクトリアの席はぽっかりと空いていた。三日前の禁術魔法使い事件の後、ブライトン公爵の令嬢は学院から除名されたのだ。

ヴィクトリアの席にあった、精巧な家紋が刻まれた椅子は撤去され、今ではただの木製の椅子が置かれているだけだ。

アリサは教室に入ると、無意識にその空席へと視線をやった。昨日の議会で、彼女がヴィクトリに対する更なる処罰を求めなかったことは、皆を驚かせた。

「誰かの苦しみを以て、自分の価値を証明する必要はありませんわ」彼女は父親にそう告げた。

アリサが教科書を置くと、机の上に微かな光を放つ魔力ポーションが静かに置かれていることに気づいた。瓶の形はヴィ...

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