第4章
蓮司が背後から離れない。松谷刑事が私を追っている。
夜7時。仕事から帰宅した。
使い捨ての携帯が震えた。影桜からのメッセージだ。『次の仕事の準備はできたか?』
返信はしなかった。
ノートパソコンを開き、加奈のアパートから持ち出したSDカードを挿入した。
パスワード入力画面が表示された。『パスワードで保護されています。残り試行回数:3回』
点滅するカーソルを睨みつけ、キーボードの上で指を彷徨わせる。
「何を伝えようとしてるの、加奈……」
今日手に入れたクリーニングの預かり証を思い出す――真理が加奈の服を受け取りに来ていた。一九九九年六月二十八日。ロッ...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
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