第6章

アイリス視点

 近くにいた女子学生が声を潜めて言った。

「嘘でしょ、彼ってば超カッコイイ」

 もう一人の女子がすぐに相槌を打つ。

「でしょ? 学院一の『完璧な独身者』って噂も納得だわ」

 講義の間中、私は必死にノートを取ろうと集中していたけれど、意識はどうしてもセバスチャンに吸い寄せられてしまう。時折眼鏡を押し上げる仕草。ホワイトボードにキーワードを書き込む際に見せる、端整な横顔。複雑な概念を説明する時に寄る、わずかな眉間の皺——その真剣な眼差しから、目が離せなかった。

「なんてこと、ロックフェラー教授のお尻、まさに芸術品ね」私の前の席に座る女子が小声で囁く。「見てよ、振り返って...

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