第5章

「律子、ごめんなさい。辛い思いをさせちゃって」

 彼女は猫撫で声で白々しく続けた。

「航平が全部調べてくれたの。あの日、お葬式で暴れた人たちは、平村家のライバル企業に雇われたゴロツキだったんだって! 私の助手に成りすまして私たちの仲を裂こうとしたうえに、航平の評判まで落とそうとしたのよ!」

 なんという完璧な言い訳だろうか。

 私は差し出された資料を受け取ろうともせず、ただ冷ややかな目で彼女の三文芝居を見つめた。

「そう」

「本当よ!」

 優香は可哀想な被害者を装って下唇を噛み、航平へと視線を向ける。

 航平の瞳には、見下すような苛立ちが微かに混じっていた。

「警察の報告書...

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