第6章

 警備員が凌を敷地の外へ連れ出したものの、招待客たちのひそひそ声はなおも空気の中を漂っていた。

 大地が歩み寄り、私にぬるい白湯の入ったグラスを手渡す。

「全部、俺が片づける」

 私は両手でグラスを包み、じんわりとした温かさが指先へゆっくり戻ってくるのを感じた。

 彩乃が近づいてきたとき、彼女の目は赤く腫れ、下唇を噛みしめ、罪悪感と怒りのあいだで揺れるような表情をしていた。

「みな、わたし……あんなふうになるなんて――」

 私は一拍置いてから言った。

「彩乃。あの人と私のことは、もう終わったの」

「私のことで、あの人と喧嘩しないで。あなたと私の関係は、絶対に変わらないから」

...

ログインして続きを読む