第7章
大地は手を伸ばし、凌の手首をぐっと握り締めた。
「妻から手を離してください」
凌は掴んだ手を緩めない。鋭く醜い何かが、その目に一瞬よぎった。
「これは俺とみなの問題だ。お前には関係ない」
「彼女は俺の妻だ」大地の声は落ち着いたままだったが、握る力はじわじわと増していく。
「彼女に関わることは、全部俺に関わる」
二人の視線が正面からぶつかり合う。間の空気が、火種みたいに乾いていった。
私は手を伸ばして大地の腕に触れた。彼の目が私に落ちる。
「車で待ってて」声を揺らさないように言う。
「すぐ行くから」
大地はしばらく私を見た。迷いの影が瞳の奥で揺れる。
それから...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
縮小
拡大
