第103章

桑野夜子は、ソファに居座る図々しい男に手を焼きながらも、テーブルの鍵を手に取って玄関のドアを開けた。

何事もないふりをして、開けるのはほんの少しだけ。次の瞬間、浦原淳宏の目の前でぱたんと閉める。表情ひとつ変えずに問いかけた。

「先輩、どうしてここに?」

浦原淳宏は腑に落ちない顔で、閉じた扉を一度だけ見やる。

「……中に誰かいるのか?」

夜子は腕を組み、淡々と答えた。

「江下文子。ちょっとあって、愚痴りに来てるの」

浦原淳宏は信じたのかどうか分からないまま、軽く頷く。

夜子もそれ以上は説明せず、先に話を進めた。

「先輩、こんな遅くに……何か用ですか?」

「真弓と俊哉が紗恵と...

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