第105章

一瞬、空気が凍りついた。

その張り詰めた沈黙を、松村炎が笑みを含ませた声で破る。

「みんなに紹介するよ。こいつは俺の兄弟、浅木辰也。今回のプロジェクトの投資側だ」

浅木辰也の視線は、最初から最後まで桑野夜子から一度も外れなかった。

背が高く、すらりとした体躯。冷ややかな美貌に、どこか刺々しい気配をまとっている。まっすぐに、獲物を見据えるみたいに夜子を射抜いていた。

狼のような目。

この場にいる誰もが、無視できるはずがない。

浦原勇人は指先でトントンとテーブルを叩きながら、浅木と夜子の間を視線で往復させる。

――この二人、何だ?

短い動揺ののち、夜子はすぐに仕事の顔を作った。...

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