第113章

丸一日会議続きで、浅木辰也は疲労の底まで沈みきっていた。

オフィスに戻るなり、秘書に言う。

「コーヒー、淹れて持ってきて」

ソファに身を落とし、スマホを取り出して画面を一瞥する。

……静かすぎる。

昨日から今に至るまで、桑野夜子からは一文字も届いていない。

本当に、よく我慢できる。

辰也は胸の奥で小さく息を吐き、結局は自分が折れた。指先で短く打つ。

【何してる?】

送信。

返事を待つ間もなく、廊下のほうがざわついた。次の瞬間、ドアが乱暴に押し開けられる。

鈴木真代。

その姿を認めた瞬間、辰也の表情から熱が引いた。スマホの画面を消し、脇へ置く。澄んだ青い瞳は感情をほとん...

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