第115章

お婆さんは浅木辰也のスマホをひったくるように取り上げ、老眼鏡をくいっと押し上げた。

「まあ、これ誰んちのちっちゃい子? 夜子の小さい頃にそっくりじゃない。かわいいこと」

写真を見た瞬間、桑野夜子はその場で全身が固まった。信じられない、という目で浅木辰也を見てしまう。

どうして――真弓の写真を、辰也が?

まさか、前から……。

勝手に思考が暴走しかけたところで、浅木辰也が自慢げに言った。

「うちの会社が広告撮影で呼んだ子役だよ」

夜子の心臓がどさりと腹の底に落ちる。――なんだ、勘違い。肝を冷やしただけだ。

しかも、辰也は夜子の動揺に気づいていない。気づかれていたら、全部ばれていた...

ログインして続きを読む