第119章

閉ざされたままの部屋のドアを見つめ、浅木辰也はきりっとした眉を寄せた。ノックすべきか迷って一歩踏み出しかけた、その時――廊下の隅から「くっ」と鼻で笑う声がした。

顔を向けると、そこには煙草をくゆらせる松村炎。からかうような目つきでこちらを見ている。

松村炎は眉をつり上げ、にやにやしながら言った。

「追い出されたのか? 辰也、お前ほんとダメだな。せっかくチャンスやったのに、使いこなせねぇのかよ」

浅木辰也は目を細め、無表情のままスマホを取り出す。松村炎が煙草を吸っているところを――パシャ。

そのまま、送信。

異変に気づいた松村炎の顔色が変わり、慌てて火をもみ消した。

「おい、何撮...

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