第120章

浦原お父さんとお母さんが去っていく背中を見送ると、俊哉は自分から真弓の手を取った。

「行こう。教室、戻ろう」

桑野夜子が忙しくて家を空けがちなせいか、二人とも年のわりにしっかりしている。知らない場所に来ても、もじもじしたりはしなかった。

「しゃべれよ、このおしゃべりできないやつ。なんでオレのオモチャ取ったんだよ!」

幼い声に、やけに偉そうな響きが混じる。

真弓は小さく眉を寄せ、声のした方を見た。

教室の隅。ひとりの男の子が腰に手を当て、別の男の子に向かって怒鳴りつけている。態度はふんぞり返っていて、いかにも「俺が正しい」と言わんばかりだ。

「おしゃべりできないやつ」と呼ばれた男...

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