第125章

スマホを置いた桑野夜子が振り返ると、ふいに――幽い青を宿した瞳と目が合った。

一瞬だけ息が止まり、唇をきゅっと結ぶ。

「……いつ起きたの?」

灯りの下、男の彫りの深い横顔に淡い光が差し、薄い唇は病的なほど白い。

「お前が電話してた時」

桑野夜子は小さく頷き、スマホを元の場所へ戻すと、ベッドサイドのバッグに手を伸ばした。

「起きてるなら、自分で点滴見てて。私は帰る」

一歩踏み出した、その背後で、かさ……とシーツが擦れる音がした。

次の瞬間、手首をぐいっと掴まれ、無防備なまま引き寄せられる。

どん、と硬い胸板に鼻をぶつけ、桑野夜子は顔をしかめて見上げた。冷えた目がそこにある。

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