第126章

さらに1時間待っても、浅木辰也の点滴はもう終わりかけているのに、秘書はまだ姿を見せなかった。

桑野夜子は苛立ちを募らせ、ベッドの上でのんびりスマホをいじっている男を睨みつける。

「……あんたの会社って、仕事の段取りこんなに遅いの?」

浅木辰也は眉をわずかに上げただけで、涼しい顔だ。

「渋滞じゃない?」

その瞬間、夜子は「何か」に気づいた。目を細めて歩み寄り、浅木のスマホをひったくる。

秘書とのトーク画面を開くと、案の定――そこには大きく、短い一文が残っていた。

『来たら殺す』

夜子は勢いよくスマホを浅木の胸に叩き返した。

「最低! どんだけ卑怯なの!」

秘書に先に脅し文句...

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