第130章

浅木辰也は鎌田大志を家まで送り届けた。車を降りると、大志がドーナツの箱をいくつも胸に抱え込んでいるのが目に入る。わざとからかうように言った。

「その箱の中、俺の分も入ってたりする? まさか一人で独り占めする気じゃないよな」

鎌田大志はドーナツを抱えたまま部屋へ向かい、ぶっきらぼうに返す。

「叔父さんは甘いもの食べない」

その背中が扉の向こうに消えるまで見送ってから、浅木辰也はどうしようもなく息を吐いた。

まったく、父親と同じ型で抜いたみたいだ。恩知らずで、用が済んだらぽい。

もし桑野夜子との間に息子がいたら、鎌田大志みたいに黙り込む子には育てないのに。

脇に置いていたスマホを手...

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