第132章

「今日の会社での件は、こちらが悪かった。浅木様の様子だけでも――」

浦原淳宏はようやく冷静さを取り戻し、体裁のいい言葉を並べた。

だが、付き添いの秘書は一歩も引かない。

「申し訳ございません。奥様より先ほど『どなたも通さないように』と申し付かっております。お二人とも、お引き取りください」

――

浅木辰也が目を覚ました時、外はすでに暮れていた。

病室はしんと静まり返り、機械の単調な電子音だけが、一定の間隔で鳴っている。

手首をわずかに動かしただけで、腕に刺さった点滴の針が目に入った。

鼻をつく消毒液の匂いに眉をひそめ、手を上げかけた、その時。

部屋の隅から冷たい声が飛んだ。

...

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