第135章

屋上から下りてきてからというもの、気のせいかどうかも分からないまま、桑野夜子はずっと背後に誰かの気配を感じていた。何度も振り返ったのに、そこには人影ひとつない。

――気のせいじゃない。

胸の奥がひやりと冷える。彼女は歩調を速め、廊下の角を曲がると同時に空き病室へすべり込んだ。息を潜め、そのまま待つ。

足音が近づいてくる。

相手が扉の前まで来た瞬間、桑野夜子はドアの陰から身を出した。

「何でついてくるの――」

言いかけて、相手の顔を見た途端、眉をひそめる。

「先輩? どうして先輩が」

廊下に立っていた男も、彼女がいきなり飛び出してきたことに一瞬ぎょっとしたようだった。だがすぐに...

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