第139章

桑野夜子は足早に駆け寄ると、ベッドのそばへ身を投げ出すようにして、浅木お婆さんの手を握った。

「お婆さん……」

浅木お婆さんはもう話すのもつらそうで、薄く目を開けたまま彼女を見つめ、それでも無理に笑って慰めた。

「泣か、ないで……お婆さんは、大丈夫……」

こんな時でさえ、苦しい息の合間に彼女を安心させようとしている。

桑野夜子の涙は、もう止まらなかった。切れた真珠のようにぽたぽたと大粒の雫が掛け布団へ落ちていく。

「お婆さん、ごめんなさい……ごめんなさい……」

浅木お婆さんは震える声で言った。

「夜子……お婆さんは、ずっと……このひと息を、つないできたの。もう一度……おまえに...

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