第15章

桑野夜子が去っていく背中を見送ると、鈴木真代はか細い声で言った。

「辰也。なんだか急に寒くなってきちゃって……病室から上着、取ってきてくれる?」

浅木辰也は深く考えもせず頷く。

「分かった。待ってろ」

男がその場を離れた途端、鈴木真代はすぐさま桑野夜子が消えた方向へ追いかけた。

「夜子、傷つかないで。あんな男のために泣くなんて、もったいないよ」

下津紗恵は、今さら後悔でいっぱいだった。あの時、浅木辰也に「チャンスをあげて」なんて、勧めるんじゃなかった。

最低の男だ。手元のものを食べながら、別の鍋まで覗き込む。高嶺の花を諦めきれないくせに、夜子のことも吊るしておくなんて――胸くそ...

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