第26章

「奥様、お目覚めでございますか」

朝。小山が早々に扉を叩いた。

桑野夜子がドアを開ける。「小山、どうしたの?」

小山は控えめに頷く。

「今朝、本家よりお電話がございまして。お婆さまが、奥様と浅木様ご一緒にお戻りになって、お食事をと仰せで……浅木様はすでに下でお待ちでございます」

夜子は一瞬、言葉に詰まった。

「……彼が、私を?」

昨夜あれだけ揉めたのに、どうして平然と本家へ連れて行けるの。

「はい。浅木様、本家へお戻りになるため、本日は会社にもお寄りにならず」

夜子は迷い、やがて小さく頷いた。

「分かった。支度する」

部屋へ戻ると、夜子はスマホを手に取り、浅木辰也へ電話...

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