第42章

鈴木真代がひと眠りして目を覚ますと、浅木辰也はすでに退院手続きを済ませていた。

彼女は車椅子に座り、浅木辰也に押されて病棟を出る。外の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込むと、自然と頬がゆるんだ。振り返って、背後の彼に尋ねる。

「どこに連れていってくれるの?」

浅木辰也は知っていた。彼女が帰国の件で家と揉めていることも、父親が再婚してから居場所がなくなり、家の人間に冷たくされていることも。だから彼女を実家へ送り届ける選択肢など、最初からない。

冷たい風が彼のトレンチの裾をはためかせる。彼は穏やかな目元のまま答えた。

「前に住んでた別荘へ。世話する人も手配してある」

だが鈴木真代は少しも...

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