第43章

桑野夜子のあまりに素っ気ない態度に、浅木辰也は胸の奥がひやりと冷えた。反射的に足を踏み出し、追いかけようとする。

その瞬間、鈴木真代の目がかすかに揺れ、彼の袖をそっと掴んだ。

「辰也」

浅木辰也は足を止めた。視線を落とすと、鈴木真代の整った顔には気まずさが滲んでいて、彼はわずかに眉を寄せる。

鈴木真代は痛ましげに目を伏せ、袖を握る指先に力を込めた。白くなるほどに。

「夜子さん……私のこと、歓迎してないのかな」

浅木辰也は顔を上げた。だが、桑野夜子の姿はもう階段の曲がり角の向こうへ消えている。薄い唇をきゅっと結ぶ。

彼は鈴木真代の車椅子の前にしゃがみ込み、彼女の膝にかかった薄いブ...

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