第67章

「夜子、辞めるって聞いたんだけど?」

オフィスから出てきた同僚のアンディーが、ちょうど桑野夜子と鉢合わせた。名残惜しそうに手を握ったまま、矢継ぎ早に聞いてくる。

「次の仕事、もう決まった? いつまでいるの?」

桑野夜子は少し驚いた。

まさか退職の話が、受付のアンディーにまで回っているとは思わなかったのだ。

普段から職場の人間関係は悪くない。アンディーの目いっぱいの寂しさに、胸の奥がじんわり温かくなり、夜子は小さく笑って答えた。

「まだ次は探してないの。しばらく休もうかなって」

あと1か月もすれば、お腹は目立ってくる。出産してから、仕事のことは考えるつもりだった。

離婚した浅木...

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